不妊治療の限界

不妊治療は確かに高度な医療を受けるわけですが、それでも成功するとは限りません。高い費用を払いながら、妊娠できる保証はないわけです。ですから人によってはリスクの高い方法論だとお考えになるでしょう。実際、不妊治療にのめり込んでしまう夫婦も少なくありません。失敗すれば「次こそは」と思ってしまい、高額な治療を繰り返してしまうのです。注意したいのは、彼らには経済的余裕はあるのかもしれませんが、精神的余裕はそうでもないということです。お金が嵩むことよりも、どうしても妊娠できないというプレッシャーの方が、彼らにとっては地獄なのです。その地獄が続いてしまうと、最終的に自分やパートナーを責め始めてしまいます。そうなると夫婦の信頼関係は崩れ、すれ違いが生じてしまいます。最悪のケースでは、不妊治療の先で離婚してしまった夫婦も存在します。不妊治療はとにかくストレスとの闘いであることは間違いありません。たとえ夫婦仲が悪くなくても、本音が言えずに悩んでいたり、うつ状態に陥っていたりします。彼らは外部の人間に相談することもなかなかできません。というのも、親類に会えば子どもや孫の話をされますし、友人に会えばその友人が既に子どもを産んでいたりするからです。もちろんやっかむ気持ちは控えた方が良いのでしょうが、人間である以上、どうしても起こってしまいます。筆者がよく見かけた例は、2人目を産めないでいる夫婦に訪れる悲劇でした。親類や友人は、「子どもは1人よりも2人の方が良い」とアドバイスしてくるものなのです。もちろん余計なお世話なのですが、アドバイスした人間は善意だと思い込んでいます。ですから無下にするわけにもいかず、言われた夫婦は苦しみ続けるのです。